サイクルはどこで止まってる?「棚卸資産回転率」 ワクワク経営コラム【第114回】

皆さま、こんにちは!
ワクワク経営ナビゲーターの古屋早雪です。

冒険の世界で、魔物を倒すサイクルを縮めようと思ったとき、どこで時間がかかっているのかを知る必要がありますね。
最初に魔物の力を弱める魔法をかけるのに時間がかかっているのか、戦闘修了後の回復に時間がかかっているのか、はたまた次の魔物を探すのに時間がかかっているのか、ということです。

これは現実の経営でも同じことが言えます。
昨日のコラムで「総資本回転率」についてお伝えしましたが、これは実は分解することができます。
総資本の中には、建物・機械設備などの固定資産、棚卸資産・売掛金などの流動資産が含まれます。
売上高を総資本ではなく、各資産科目の金額で割ることで、その資産の回転率が求められます。
棚卸資産回転率であれば、売上高を棚卸資産の金額で割ることで求められます。

棚卸資産の回転と言っても分かりにくいと思いますので、具体例で考えてみましょう。
例えば、売上高3,000万円、総資本1,000万円で、その内訳が現金250万円、売掛金250万円、棚卸資産(商品)500万円だったとします。(話を単純にするため固定資産はないものとしています)
総資本回転率が3回なので、1年間に現金は3サイクルしていることになります。
従って、4ヶ月で1サイクルですね。
平均すると1ヶ月あたり250万円の売上ですから、売掛金は1ヶ月分、棚卸資産は2か月分となります。
これに、現金として持っているのが1ヶ月と考えて、全部で4ヶ月で1サイクルしていることになりますね。
そして、売掛金だけを見ると、1ヶ月で1サイクルなので1年で12サイクルするため、売掛金(売上債権)回転率は12回、同様に棚卸資産回転率は6回となります。
また、その資産科目が1サイクルする期間を「回転期間」と言い、売掛金(売上債権)回転期間や棚卸資産回転期間などと言います。
回転率は、その資産科目が1年で何サイクルするかということなので、回転期間とは裏返しの関係になります。
このように、回転率も分解して考えると、どの過程でサイクルが滞留しているか分かります。
ただし、棚卸資産の回転期間が長いからと言って、そこに問題があるとは限りません。
商品によっては、棚卸資産として滞留する時間の長いものもあるからです。
従って、同業他社の平均値や、過去の実績などと比較して長いのか短いのかを分析したり、もっと短くできないかを検討することになります。
例えば、商品ラインナップを見直して在庫滞留期間を短くしたり、売掛金の回収が滞っている先について回収を促すことにより売掛金の滞留期間を短くしたりなどです。

回転率も分解することで、どこの回転を速くできるか考えてみましょう♪

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