魔物につかまった!あなたならどうする?「囚人のジレンマ」 ワクワク経営コラム【第19回】

皆さま、こんにちは!
スノウコンサルティングの古屋早雪です。

あなたは冒険の途中、立ち寄った酒場でお宝の噂を耳にしました。
詳しく聞いてみると、東の洞窟にお宝が眠っており、話を持ち掛けてきた冒険者と2人でならお宝を手に入れることができそうでした。

次の日、2人で洞窟へ向かい、お宝を探しますが、あと少しのところで罠にかかり、魔物につかまってしまいました。
そして、2人は別々の牢屋に入れられました。
夜、魔物は眠ってしまい、牢屋から逃げ出すことはできそうですが、その場合お宝は手に入りません。
お宝を手に入れようとすれば、魔物は起きてきて戦いになります。
ただし、牢屋から逃げ出し、もう一人の冒険者が魔物に挑んでいた場合、その間にお宝を手に入れ独り占めすることができます。
魔物は1人で倒すことはできませんが、2人でなら倒すことができます。
2人で魔物を倒した場合は、お宝は山分けとなります。
しかし、もう一人の冒険者が逃げるか戦うか、どちらの選択をするかは分かりません。
そんな時、あなたは戦いを挑んでお宝ゲットを狙いますか?
それとも安全に逃げ出すほうを選びますか?

もし、もう一人の冒険者が逃げることを選んでいた場合、お宝を狙えば一人で魔物と戦うことになり、勝つことはできず倒されてしまいます。
しかし、自分も逃げ出せば命だけは助かります。
では、仮にもう一人の冒険者が戦うことを選んでいた場合はどうでしょう。
お宝を狙えば2人で魔物と戦うことになり、倒すことができますがお宝は折半になります。
逃げ出した場合、もう一人が戦っている間にお宝を独り占めすることができます。

このように考えると、どちらの場合でも逃げたほうがよさそうですね。
しかし、もう一人の冒険者も同じように考えるはずですので、結果は2人とも逃げ出して、お宝は手に入りません。
もし2人とも戦えば、2人で魔物を倒しお宝の半分を手に入れることができますが、もし戦う選択をしてもう一人が逃げていたならば、倒されてしまうからです。
2人にとって、逃げ出してお宝を手に入れるほうが良い結果となるはずなのに、両者が自分にとって最良の選択をした結果、お宝が手に入らない結果となってしまいます。

では、2人がお宝を手に入れるにはどうしたらよかったのでしょうか?
1つは、2人ともが相手のことを信じて魔物に戦いを挑むことですね。
2人が相手を信じることができれば、一緒に魔物を倒しお宝を手に入れることができます。

もう一つは、魔物につかまった場合を想定して、一緒に戦うことを約束しておくことです。
例えば、お互いに他のお宝の情報を持っていることを知っていて、相手が生きていればさらに一緒にお宝を手に入れることができると分かっていれば、選択の結果は違ってきます。

これは現代の経済社会でもよくある話で、経済学のゲーム理論と呼ばれる分野で「囚人のジレンマ」と呼ばれているモデルです。
例えば、他社との値下げ合戦で、2社ともが値下げをしない場合が2社とも値下げをした場合よりも利益が高くなるはずが、自社の利益を考えた結果、両者とも値下げをするという状況が考えられます。
この場合も、2社で協定を結んで「両社とも値下げをしない」という合意をすれば、両社の値下げは回避できますが、これは談合やカルテルと言って通常法律で禁止されています。(この場合、2社だけではなく発注者や消費者の利得も絡むためです)

社内や自社を取り巻く状況の中にも、あるいは日常生活の中にも、こういう状況はあると思います。
その時どのような選択をするか、あるいは両者が自分の利益を追求することによって全体の利益が損なわれることを防ぐためにどのような対策を取るべきか、一度考えてみませんか?

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