それとこれは関係ある?「相関分析」 ワクワク経営コラム【第120回】

皆さま、こんにちは!
ワクワク経営ナビゲーターの古屋早雪です。

冒険の途中、立ち寄ったお城で、冒険者の旅芸人が大臣からこんな相談を受けました。
大臣「最近、毎月月初にスライムがやたらと増殖するという報告があるのだが、原因が分からなくて困っているのだ。何かいい知恵はないだろうか?」
旅芸人「そうですか。月初、もしくは月末に恒例になっている出来事などはありますか?」
大臣「そうだな、毎月月末にはゴブリン討伐キャンペーンを行っているが、何か関係があるだろうか」
旅芸人「なるほど・・・もしかすると、ゴブリンの生息数がスライムの生態系に影響を与えているのかもしれませんね」
大臣「ふーむ、そのようなことがあるのだろうか。ゴブリンがスライムを捕食しているわけでもあるまいし」
旅芸人「では、日ごとのゴブリン討伐数と、スライム目撃数のデータはありますか?」
大臣「ああ、これだ」
旅芸人「これを見ると、月末にゴブリン討伐数が増えて、月初にスライム目撃数が増えています。何か関係があるかもしれません」
大臣「それだけで関係があると言えるだろうか?」
旅芸人「月末のゴブリン討伐数と、翌月月初のスライム目撃数の関係性を見てみましょう。ゴブリン討伐数が多い次の月に、スライム目撃数が多ければ、関係がある可能性が高いですね」
大臣「先々月末はゴブリン討伐数は少なかったが、先月月初のスライム目撃数は多かった。先月末のゴブリン討伐数は多かったが、今月月初のスライム目撃数は少なかった。やはり関係ないのではないだろうか?」
旅芸人「そういう時は、グラフに描いてみると分かりやすいですよ」

旅芸人は、そう言うと横軸をゴブリン討伐数、縦軸をスライム目撃数としたグラフ上にプロットしました。
これは、「QC7つ道具」の散布図と同じものです。

大臣「おお、確かにこう見ると関係ありそうにも思えるな・・・しかし、今いち確信が持てん。明らかに関係あると言える証拠はないだろうか?」
旅芸人「それでしたら、相関係数を使いましょう。」

相関係数と言うのは、2つのデータの相関関係を数値で表したもので、詳しい式は省略しますが、-1~1の間の数値をとり、「正の相関」が強いほど1に近く、「負の相関」が強いほど-1に近く、相関がない場合は0となります。
正の相関とは、一方が大きければもう一方も大きくなり、負の相関は一方が大きければもう一方は少なくなるという関係です。
旅芸人が相関係数を計算したところ、およそ0.74となり、かなり強い正の相関がみられました。

大臣「確かに、データから見ると、ゴブリン討伐数とスライム目撃数は関係ありそうだな」
旅芸人「そうですね。ただし、まだサンプル数が少ないので断定はできません。これを仮説として様子を見たほうがよいでしょう」
大臣「そうか。ゴブリン討伐キャンペーンを弱めるわけにもいかんし、同時にスライム討伐キャンペーンも実施するようにするよ」

旅芸人が言うように、十分なサンプル数がなければ、一定の傾向が見られたとしても断定はできません。
また、「相関関係」は「因果関係」ではありませんので、「ゴブリン討伐数」と「スライム目撃数」に相関関係があったとしても、因果関係があるとまでは言えません。
しかしながら、そこから仮説と推測により、さらに調査を進めることで、事実を明らかにする材料にすることはできます。
経営では、マーケティングや生産管理、労務管理など、様々な場面でデータを分析することで見えてくるものがあります。
なお、相関係数を計算するのは大変ですが、Excelなど表計算ソフトを使えば簡単に求めることができますし、散布図を描くこともできます。

是非「相関分析」で仮説を立てて、ワクワクを最大化する方法を考えてみてくださいね!

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