王位継承問題はどのように解決する?「王位継承理論」 ワクワク経営コラム【第169回】

皆さま、こんにちは!
ワクワク経営ナビゲーターの古屋早雪です。

冒険者が、旅先の国でしばしば巻き込まれるのが「王位継承問題」です。
冒険の世界の舞台となることの多い「中世ヨーロッパ風の世界観」では、国王が国を治める王国であることが多いです。
そして、王位は世襲で引き継がれていくことが多いわけですが、ここで問題になるのが「次の王様は誰か?」ということです。
通常は第一子、または長男が王位を継ぐことが多いですが、周囲を取り巻く人たちが様々な権謀術数を使って自分たちに利する後継者を即位させようとすることがあります。
誰が王様になるかによって国の行く末が大きく変わることがあるため、この王位継承問題は国民や国に使える兵士・役人にとっても関心の高い問題となっています。
このようにして、複数の後継者候補、そしてその取り巻きが王位を巡って争い、それを解決するために冒険者が尽力するというわけです。
さらには、その取り巻きの中に魔物が紛れていて、国を乗っ取ってしまおうと企んでいるなどという話もよくあります。

これは経営で言えば、事業承継の際に似たようなことが起こります。
経営者は「王」ではありませんが、その会社の重要な意思決定をする権限をもつことから、その経営権である株式を誰が持つかということは、会社の行く末を大きく左右しますし、誰もがその権限を持ちたいと考えればそこに争いは生まれることがあります。
特に中小企業では、1人の経営者が株式を全て保有する形を取ることが多く、先代経営者が保有する株式を誰が引き継ぐのかということは、誰が次の経営者になるのかということと同義になります。
企業は、資産を保有するだけでなく利益を生み出す力を持っているため、その株式にはそれだけの「価値」があり、その価値を巡って利害対立が起こることもあります。
仮に先代経営者の子のうちの1人が株式を引き継ぎ後継者になったすると、他の子たちは不公平を感じることになります。
他の保有資産の分配などにより納得のいく配分で同意を得ることが出来ればよいですが、後になってそれが災いのタネになることもありますで、明確な基準で分配することが好ましいです。
この明確な基準のため、「会社=株式がどれだけの価値を持つか」を算出する必要があり、これを「株価算定」と言いますが、これは相続税や贈与税にも関わるため、公認会計士や税理士がその算定をおこなうことが多いです。

先代経営者の持つ資産の中で株式が大部分を占める場合、それを後継者が受け継ぐとすると、他の相続人が公平な資産を受け取ることができない場合があります。
このような場合、相続や贈与で全株式を後継者が受け取ると問題が起きやすいので、適正な価格で後継者が買い取ることがあり、この場合も株価算定が必要になります。
後継者が先代経営者の親族(相続人)でない場合も、株式を買い取ることになるため同様となります。

また、王位継承の際、伝統により何らかの儀式が必要となり、それを冒険者が手伝うということも多いですね。
これは儀礼的な意味の他に、内外に向けて後継者の存在を知らしめる意味もあると思われます。
その意味では、事業承継においてもそういったことが必要になります。
今まで、先代社長との関係性で取引をしていた顧客や取引先、従業員などにも、この人が次の経営者であるということを知ってもらい、新たに関係性を築かなくてはなりません。
こういったステークホルダーとの関係性は、まさに「見えない武器」の中でも重要な位置を占めており、後継者がしっかり引き継ぐことが会社の継続性にかかわります。
通常は事業承継の準備期間に、徐々に後継者として関係性を築いていくことが多いですが、何らかの理由で十分に事業承継の時間が取れない場合は、「儀式」ではないですが就任式などで次の経営者として内外に発信する機会を設けるのも一つの方法かもしれません。

適切な事業承継で、100年、1000年続く会社のために継続性を高めましょう♪

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