部下への厳しい指導は必要? ワクワク経営コラム【第199回】

皆さま、こんにちは!
ワクワク経営ナビゲーターの古屋早雪です。

職場などで、部下や後輩を厳しく「指導」するという場面があるかと思います。
経営者の皆さまも、この「厳しい指導」を受けて成長してきた、という思いを持っている方も多いのではないでしょうか。
近年では、パワハラや体罰といった問題も取り上げられることが多くなり、厳しい指導ができなくなったと嘆く声も聞かれます。
しかし、そもそもこの「厳しい指導」というのは必要なのでしょうか?

人は負荷をかけるから成長する、相手のためを思っているから厳しく言う。
なるほど、一見間違ってはいないように聞こえます。

しかし、実は「厳しい指導」などは基本的には必要ない、という理由があります。

指導をする場面の目的は大きく2つに分けられます。

一つは、仕事などでやり方を教えることで、より大きな成果を出させようとする場合です。
上司が考える正しいやり方を、無理やりにでも叩き込むことで、たしかに仕事の成果が上がることもあるかもしれません。
しかし、皆さまも「北風と太陽」という童話は聞いたことがあるかと思います。
ある時、北風と太陽が旅人の上着を脱がせるという勝負をしました。
北風は、強い風で無理やり脱がそうとしましたが、旅人は上着が脱げないよう逆に上着を押さえつけたために脱がせることはできませんでした。
一方、太陽は強く照り付けることで、旅人は暑くなり、自ら上着を脱いだ、という話です。
すなわち、相手に行動させるためには、強制するのではなく、自らそうしたくなる環境をつくることが大事だということですね。
また、失敗したら叱責される、評価が下がる、恥をかくと思えば、人は挑戦したり意見を言うことに対して躊躇してしまいます。(参考:心理的安全性
強制したり厳しく指導することは、モチベーションが下がり逆効果になることも多い上に、職場の雰囲気が悪くなる、メンタルヘルスに悪影響がある、離職率が高まるといったデメリットも大きいため、避けたほうがいいと言えるでしょう。

もう一つは、相手の成長のために指導する、という場合です。
この場合も、本当に「厳しい指導」が必要なのかどうか、よく考えなくてはいけません。
上司が、厳しい指導を受けたために成長できたというのは、「生存者バイアス」による思い込みの可能性があります。
また、「相手のためを思って」というのも、あなたの価値観の押し付けである可能性があります。
相手は、その「厳しい指導」による「成長」を、本当に望んでいるでしょうか。
成長を望んでいたとしても、それは相手が望んでいる「成長の方向性」でしょうか。
それは、相手の幸せにとって必要なものでしょうか。
顧客が本当に必要だったもの」でもお伝えしたように、本当に「相手のためを思う」のであれば、自分の価値観を無理やり押し付けるようなことはあってはなりません。
また、厳しい指導は「自分で考えなくなる」という弊害もあります。
上司に従っていれば、上司が望む行動をしていれば、怒鳴られることもなく、評価される。
このような指導は、自分で考えることができない「訓練された無能」を量産するだけです。
本当に部下の成長を考えるのであれば、部下の「成長したい」という気持ちを育て、後押しし、その実現を助ける環境を整えることが重要といえます。

以上のことから、厳しい指導というのは「基本的には」必要ないということになります。

しかしながら、これには例外があります。
それは、緊急を要する場合です。
やり方を間違えると命にかかわる、取り返しのつかない大きなダメージを負う、といった場合、多少きつめに指導して軌道修正させる、といったことも必要な場合があります。
しかし、これもデメリットを伴うため、できる限りそのような危険な状況を作らないように事前に手を打っておくことが望ましいですね。

部下や後輩には厳しい指導ではなく、自ら行動したくなる環境・仕組みづくりに力を入れ、ワクワク職場を実現しましょう♪

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